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(7) むし歯の予防【フッ素】


さて、むし歯の要因の3つめ、最後、歯、についてです。

 

 

先程砂糖について説明した通り、砂糖を0にすることはできません。

どんな歯みがき上手な人でも完ぺきに磨ける人はいません。

そこで、細菌と、砂糖から歯を守るために、歯を強くする方法を考えました。


みなさん、歯を強くするのに、フッ素という言葉を聞いたことが多いと思います。さて、フッ素とはなんなのでしょうか?

 

フッ素は約90種類の元素のうち17番目に多い元素で、右図のように自然界に広く存在しています。

いろいろな食べ物の中にも入っています。


WHO(世界保健機構)は、フッ素は、人の栄養における必須元素と発表していています。

アメリカ歯科医師会では、

飲料水中の
フッ素濃度

〜6カ月児

6カ月児
〜3歳児

3歳児〜6歳児

6〜16歳児

0.3ppm未満

0.25mg

0.5g

1.0mg

0.3〜0.6ppm

0.25mg

0.5g

0.6pp超


のフッ素を通常の飲食物以外から一日に補給することを推奨しています。

佐和田町の飲料水にフッ素はほとんど含まれていませんので、表の一番上の段にあたります。

 


そのフッ素を上手にとることで、歯を強くできます。

歯を強くする仕組みとしては、歯の結晶のすき間にフッ素が入ることで、結晶が安定し、酸におかされにくくなると言われています。

またむし歯になりかけたところを、もとにもどしてくれる作用もあります。



そこで、フッ素をむし歯予防に使うことを考えたわけですが、フッ素は上手にとることが肝心です。どんなものも上手にとらないと毒になります。

フッ素をむし歯予防のために使うのに、いろいろな方法があります。

 

上水道に至適濃度のフッ素を添加する、水道水フッ素化という方法があります。水道水フッ素化は、アメリカなど38カ国で行われており、実際むし歯予防に非常に効果が出ています。利点としては、効果・安全性・経済性に優れていることです。欠点としては、上水道にフッ素を添加するので、希望しない人にまで行われてしまうということです。現在日本では行われていません。

 

 

次に、フッ素洗口という方法があります。

フッ素洗口は、学校、家庭などで行われる方法で、集団的に応用でき、操作が簡単で費用も安くできます。

フッ素のもっとも効果的な方法は、低濃度で何回も作用させる方法であり、この意味からも洗口法は優れた方法と言えます。

写真はフッ素洗口を学校で行っているところの写真です。10ccくらいのフッ素液を使い、30秒ほどぶくぶくうがいしてもらい、最後にはいてもらいます。


フッ素洗口で口の中にのこるフッ素の量は、紅茶1〜2杯を飲んだときに含まれるフッ素の量であり、まったく安全です。

たとえ、フッ素洗口液をぜんぶ飲んだとしても、急性中毒がおこる量は、体重20kgの子で、約20杯飲んで起こるといわれています。

どんな薬でも量を沢山とれば、薬が毒にもなりますが、フッ素でも同じことがいえるわけです。

20杯飲まないように、きちんと指導者が管理する必要があります。

 


なお、歯医者さんや、保健所などでは、フッ素塗布という方法を行っています。これは高濃度のフッ素を直接歯に作用させる方法です。

 
さて、フッ素の効果をご紹介します。

 

グラフは、各種むし歯予防法の予防効果の違いを表したものです。

10歳の子供で、2年間、各種むし歯予防法を行い、むし歯の増加を比較したグラフです。

対照群に比べて、フッ素洗口の群は、むし歯の増加が少ないことがわかります。

 


右のグラフは、はえてからすぐの歯(新しい歯)と、はえてから時間の経った歯(古い歯)での、フッ素洗口によるむし歯予防効果の違いです。

弥彦小学校はフッ素洗口をおこなっており、対照校は行っていません。

古い歯ではあまり効果の違いがありませんが、新しい歯では、フッ素洗口を行った、弥彦小学校の群が、むし歯になりにくくなっていることがわかります。


 

このようにフッ素がむし歯予防に大変効果があるため、現在約2億人の人々が、むし歯予防にフッ素の恩恵を受けています。

 

 

先程紹介したフッ素の使用法は、家庭で行う事ができませんが、いまは、家庭で行う方法もあります。


(1)フッ素スプレー:レノビーゴ(1400円/約2カ月分)は、スプレー式なので手軽に使用できます。一日一回使用します。フッ素濃度は100ppmです。

 

(2)フッ素洗口液:ミラノール(1500円/半年〜10カ月分)は、ご自分で粉を水に溶かす必要がありますが、濃度が高く、効果は強いです。一日一回30秒ぶくぶくうがいをしてもらいます。なお、フッ素溶液を一度に全部飲むと危険なこともありますので、洗口液の管理をきちんとしていただく必要があります。また乳幼児に対しては濃度の低い液で塗ってもらう方法があります。

ぶくぶくうがいができない幼児のための
100ppmフッ素液の使い方

(1) ミラノール(顆粒量1.8g(フッ素量90mg)入り)1袋を、900ccの湯冷ましに、きれいに洗ったペットボトルなどで溶かす。

(2) ピンクの容器に200cc入れて完成。冷蔵保管する

(3) 他はもったいないけど捨てる

(4) 1日3ccを1回使用し、歯ブラシなどにつけながらブラッシングする

※1 体重10kgの場合、フッ素安全耐量の下限値は80mgです。100ppmでは200ccでフッ素20mg。800cc以上を一度に飲み込むと下限値をオーバーします。安全のため、200ccを取り分けたあとの残りは捨ててください。また十分注意して保管する必要があります。

※2 これ以外のフッ素製品の使用、フッ素塗布などはしないでください。

※3 ぶくぶくうがいができるようになったらフッ素洗口に変更します。ぶくぶくうがいができるとは、口の中でうがいをし、30秒たったら洗口液を吐きだせることができるということです。

 

ちなみに、我が家では、右上の方法はとりませんでした。3ccでも飲ませるのが、なんか気が引けて、、、。かわりにとった方法がこれです。

 

ぶくぶくうがいができない幼児のための450ppmフッ素液を使った、フッ素塗布法

(1) ミラノール(顆粒量1.8g(フッ素量90mg)入り)1袋を、ピンクの容器に200cc入れて完成。冷蔵保管する

(2)綿棒に1滴つけて、歯を磨く。

以上。簡単ですね。

※1 体重10kgの場合、フッ素安全耐量の下限値は80mgです。450ppmでは200ccで90mg。200cc以上を一度に飲み込むと下限値をオーバーします。安全のため、作ったフッ素液は十分注意して保管する必要があります。

※2 これ以外のフッ素製品の使用、フッ素塗布などはしないでください。

※3 アメリカ歯科医師会の、飲料水中のフッ素濃度0.3ppm未満地域での、6カ月児〜3歳児の、通常の飲食物以外からのフッ素の推奨一日補給量は0.25mgです。0.25mgは、450ppmでは0.56ccです。綿棒に1滴なので、1ccもつくことはないと思いますが、つけすぎないように気をつけてください。

 

(3)高濃度フッ素入り歯磨剤:CheckUp(500円)は、歯みがきするときに頻繁に使う歯磨剤にフッ素をいれたものなので、毎日の使用に便利で、とても効果があるとおもいます。今は、ほとんどの歯磨剤に、フッ素が入っていますので、それでも結構です。

 

ほとんどの歯磨剤にフッ素が入っているためか、むし歯も年々減ってきているようです。今後のデータがまたれるところです。

わが国で入手可能なフッ化物配合歯磨剤

 
歯磨剤はつけすぎると、何かみがいた感じがしてしまって、歯みがきがおろそかとなってしまう場合があるので、多くつけすぎるのはよくありませんが、大人でも、今度は歯の根が出てきた人などに対し、歯を強くする作用が、フッ素入り歯磨剤にはありますので、適量のフッ素入り歯磨剤をつけてみがくことをお勧めします。

 

 

追記:ミラノールによるフッ素洗口と、フッ素入り歯磨剤の併用について

それでは、フッ素洗口とフッ素入り歯磨剤の併用はどうでしょうか?

フッ素洗口してはきだしたあと、口の中に残るフッ素の割合は10〜15%といわれています。450ppm10ccで、洗口する場合には、0.675mgのフッ素が口の中に残ることになります。

歯磨剤の口腔内残留率は幼児で約30%といわれています。1000ppmフッ化物配合歯磨剤の使用量を歯ブラシの植毛部分の半分程度(約0.5g)とすると、その中に含まれるフッ素は0.5mgとなります。その約30%程度が口腔内に残留するのですから、フッ素の残留量は約0.15mgと予想されます。

フッ素洗口を1日1回、歯磨剤を1日3回使用したとすると、

0.675+0.15*3=1.125g

となり、ほぼアメリカ歯科医師会の、飲料水中のフッ素濃度0.3ppm未満地域での、6〜16歳児の、通常の飲食物以外からのフッ素の推奨一日補給量は1mg、と同じになります。

もちろん、中毒量としては少なく、まったく問題ありません。

各家庭によって、フッ素洗口とフッ素入り歯磨剤を使い分けても、両方使用してもいいと私は思っています。